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〒791-0216 愛媛県東温市野田2丁目100-1
硬膜外麻酔分娩の目的は、『痛みを全くなくすこと』ではなく、『少しは痛みを感じるけれど十分に痛みをコントロールできる程度まで鎮痛すること』と『筋肉を弛緩させることで分娩をスムーズにすること』です。
安全でよりよいお産にするためには、当院ではこんなことを行なっています。
正確に陣痛を計測する・・・・・ | 分娩監視装置の使用 |
安全な分娩に徹する・・・・・・ | 胎児のモニタリング |
母性の確立・・・・・・・・・・ | ソフロロジー法 |
理想的な陣痛・・・・・・・・・ | 必要に応じて少量の陣痛促進剤使用 |
痛みの軽減・・・・・・・・・・ | 硬膜外麻酔法を利用する |
1.母体にとって安全なもの
2.胎児や新生児に悪影響を及ぼさないもの
3.分娩経過に及ぼす作用は最小限に、もしくはよりスムーズになるように
4.鎮痛法として効果的なもの
残念ながら今のところ、この全てを完璧に満たす方法はありませんが、その中でも鎮痛効果が優れて、母体の意識をたもち誤嚥の危険性がほとんどなく、児への影響が極めて少ないことを考えると、硬膜外麻酔法による鎮痛法がベストチョイスとなります。
1 | 産道の緊張を取り去りますので、赤ちゃんは楽に産まれてきます。 したがって、お産の時間が短くなります。 |
2 | 陣痛と陣痛の間は子宮の筋肉は十分に柔らかくなり、赤ちゃんが酸素不足になることを防いでくれます。 |
3 | お母さんの痛みをとってくれますので、痛みからくる血圧の上昇を防いでくれます。血圧が高い方や妊娠高血圧症候群の方には最適といえます。 |
このように硬膜外麻酔を分娩に応用することで、分娩時間の短縮、母体と胎児への負担の軽減、産後出血を減少させることが可能になります。また、陣痛がきていないときの子宮内圧(基底圧)低くなり、陣痛間歇期の子宮内圧がゼロに近くなるため、胎盤血流量の増加により、胎児により多くの酸素が供給される。とともに、子宮筋の血液循環を良好に保つことで次の子宮収縮が有効になり、さらに胎児仮死や子宮破裂の危険因子が減少することも利点です。
このように硬膜外麻酔分娩のメリットは多くありますので、麻酔薬を利用して、疲労困憊になることなく、心身ともにゆとりがもてる出産をしていただきたいものです。
当院の硬膜外麻酔分娩には、自然の無痛分娩と計画無痛分娩があります。
自然の無痛分娩は、陣痛が始まってから入院をして硬膜外麻酔を開始します。陣痛はいつ始まるかわかりませんので、夜間の入院になることもあります。硬膜外麻酔は24時間いつでも可能ですが、夜間になると時間外になりますので、別途時間外料金がかかります。
計画無痛分娩は、入院日を決めて陣痛促進剤を点滴しながら硬膜外麻酔で陣痛の痛みをコントロールしていく方法です。
硬膜外麻酔挿入時の流れ | ||
1.麻酔による低血圧を防ぐため、ブドウ糖液を500ml〜1000ml点滴します。 2.硬膜外腔にカテーテルを留置します。(挿入時には下の絵のような体位をとります。) 3.麻酔の影響で一時的に、血圧が下がることがありますので、持続的に血圧・脈拍などを測定します。 分娩監視を開始し、胎児心拍のモニタリングをおこないます。 4.血圧が安定したら、計画分娩の場合は陣痛促進剤の点滴を開始し、陣痛の痛みに応じて麻酔をコントロールしていきま す。陣痛が始まってから麻酔を開始する場合は、血圧の安定を確認し麻酔の注入を開始します。 |
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・硬膜外カテーテルの挿入時に、一過性に下肢に電撃様の異常感覚を感じることがあった場合はすぐに医師に言ってください。限局された部分のしびれ感はありますが、下肢は通常動きます。麻酔量を増やすと下肢がしびれ力が入らない感覚になります。(正座をした時にしびれがきれて足に力が入らないような感覚) トイレ歩行時には十分に注意をする必要があります。 麻酔中に、耳鳴り・口周囲のしびれ感・金属様の味の有無・下肢の急激な感覚低下や運動神経遮断の有無を調べます。 |
・日本での報告では、帝王切開率が増加したとの報告はありません。
ただ明確な事実として、局所麻酔薬の使用量や濃度を上げると、吸引分娩が増えたり分娩第2期が延長します。
子宮収縮薬の必要性が増加します。したがってただひたすらに、無痛にするために局所麻酔薬の濃度を上げる
ことはあまり感心できることではありません。
以下のように合併症を予防するために様々な対処をしています
主要な合併症 | 頻度 |
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低血圧・・・・・・・ 硬膜穿刺後頭痛・・・ 背部痛・・・・・・・ 局所麻酔薬の血管内注入・・・ 局所麻酔薬のくも膜下注入・・・ 硬膜外血腫・・・・・ 硬膜下膿瘍・・・・・ 神経障害・・・・・・ |
・・・約20% ・・・約70% ・・・約30〜40% ・・・約2% ・・・約0.1〜0.82% ・・・時に手術になり後遺症が残ることがあります ・・・時に手術になり後遺症が残ることがあります ・・・0.05〜0.42% |
産婦さんが希望すれが禁忌のない限り可能ですが、次のような場合には行うことができません。
・出血が多い(低血圧が増幅されるため)
・凝固異常がある(血腫ができやすいため)
・感染症がある
・技術的に困難である
・神経疾患がある